2010年5月11日火曜日

粘板岩

・2010年5月9日(日)
・俄眉野林道:に尾根に上がると(P328m)、そこは風衝地のススキ草原であった。準平原状で、古くはおそらく草地として利用されていたとも考えられる。ススキ草原の風衝地は森林に向かって遷移することは間違いないが、時間は待てないというのであろうか?森林再生にかなりの投資が繰り広げられていた。森林再生に土木的発想の驚くほどの努力・・・。植林した幼木の生長を期待して、木製の三角フェンスで強風を緩和しようとしているようだった。



・クロマツ・グイマツ・シラカンバ・ブナ(保安林改良工事)の植栽。表示板も立派なもので、都市域の工事標識と比べてもそん色ない。誰が見てくれるのか・・・!


・鳥獣保護区(特別保護地区124ha/891ha)の表示板があった(WGS84:N41度47分24.45秒,E140度56分01.32秒)。尾根沿いの林道から俄眉野沢の間が特別保護地区に設定されていた。コウライキジが飛翔し、エゾシカの足痕がゆるんだ路面についた。



・粘板岩(slate)が林道の法面に現れていた。地質図を見ると、紅葉山~糸川の北縁、鶴野~汐首岬の南縁まで、中に清水山や気無山が含まれる地域は、先第三紀戸井層(粘板岩・砂岩)に色塗られ、古くは日高古生層と呼ばれた地層であった。




・亀田半島で、他に露出している場所は目那川流域。公開されているシームレス地質図には、「前-後期ジュラ紀(2億~1億4600万年前)のメランジュ基質(付加コンプレックス)」に区分されていた。
岩石学辞典
① 粘板岩(clay slate): 非常に弱い変成作用を受けた粘土質岩石で,割れ目や劈開,初期の葉状構造を示すもの.変成作用で再改変され絹雲母(セリサイト:層状珪酸塩鉱物である白雲母の細粒なもので、粘土鉱物の一種,緑泥石,緑簾石,緑色雲母などは元の粘土の50%以下である.しかし実際には粘板岩と千枚岩との間には区別ができるかどうか疑わしい.一般に粘板岩は粘土質の岩石からできたスレート(板岩)と,非常に硬く固結した頁岩の両方に使われているが,本来は前者の意味.日本語の粘板岩は地質調査所の人々による訳らしく,白野夏雲により1883年に硯石に関する論文に用いられた.
② slate: →スレート
(1) 細粒の堆積物で形成された非顕晶質で緻密な岩石の一般名.頁岩,泥岩,火山灰などの細粒の堆積物から形成されている.堆積面とは関係なく劈開面が斜交して発達し薄い板状に割れやすい性質がある.特に粘板岩のことをいう.薄い板に割ると岩質ではそれぞれの区別が付かなくなる.
(2) 細粒の緻密な粘土質の低度の変成岩を指すことがある.この場合の変成作用はホルンフェルスよりも変成度は弱いものをいう.この岩石は普通は顕著な劈開を示さない.特別な鉱物を含むことがあり,菫青石スレート,空晶石スレートなどと呼ばれる.
(3) 頁岩(shale)をスレートと呼ぶことがある.フランス語の力で小片に引き裂くことで,最も古い意味は屋根をふく薄い石材のことである.日本では江戸時代から薄く割れる石材を磐石,板石,石板などと呼ぶ.現在でも日本では屋根をふく材料に粘板岩を用いている地方がある.