昨秋写万部岳で会ったKas氏と、チシマザクラの開花時期に横津高原を歩くことになっていた。予定の期日に黒松内Kas、洞爺湖Wat、北斗Oot、函館An・Moの全5名が、チシマザクラロード経由で袴腰岳を目指した。例年よりかなり生物季節が遅れていたので、開花は期待外れであった。昨日の恵山火口原にヤマツツジの赤は認められず、作物の生育情報も数日遅れている報道もあって、5月から6月上旬の季節の遅れは道南の全般的傾向であった。
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北斗のOot氏は横津高原のチシマザクラとミネザクラの個体を繰り返し調べていたという。一時その形態の違い、分け方、チシマザクラとミネザクラはどこが違う?・・・が話題になった。横津高原(溶岩台地)では ① 同所的に両種が生育している ②花柄・葉柄の毛の・有(その多少)~無が連続的である。 このことから はたして如何にして母種ミネザクラ、変種チシマザクラを分けるのであろうか?
・母種ミネザクラPrunus nipponica Matsumura
・変種チシマザクラPrunus nipponica Matsumura var. kurilensis (Miyabe) Wils.
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両種の見方に示唆を得ることができる報告(下表参照)<”チシマザクラとミネザクラはどこが違う?:道立林試2007きたみどり”>がある。これによると<花柄や葉柄に毛のないものはミネザクラ、多いものはチシマザクラといえますが、このような結果からは両者の間に明確なラインを引くことは難しいといえます。>として、<緑化樹として扱う場合は一般に親しまれている「チシマザクラ」に統一しても構わないと考えています。>と結論づけている。
根室産チシマザクラ実生苗の毛の有無 | ||||||||
個体数 | 葉柄 | |||||||
161 | 多 | 中 | 少 | 無 | 計 | |||
花柄 | 多 | 19% | 2% | 0% | 0% | 22% | ||
中 | 9% | 15% | 5% | 0% | 29% | |||
少 | 11% | 4% | 9% | 3% | 27% | |||
無 | 5% | 2% | 4% | 11% | 22% | |||
計 | 44% | 24% | 19% | 14% | 100% | |||
原図<チシマザクラとミネザクラはどこが違う?:道立林試2007きたみどり>を改変 | ||||||||
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袴腰岳山頂のミヤマハンノキ開花の様子 赤い穂状花序は♀、太くぶら下がる穂状花序は♂ |
同所のダケカンバ♂花穂 |
同株ダケカンバの♀穂状花序 |
ミネヤナギの♂花穂(♂株) |
ダケカンバ林の解舒:背景に黒い樹幹のブナ |
ダケカンバ樹冠下のチシマザクラ群:開花遅れて 背景に烏帽子岳直下の雪崩斜面の残雪(夏道を覆う) |
5月15日の同所では、雪解け直後で、開花直前だった 開花受粉を終えて結実期の入る 白色に賑わう果穂は今年おおいに楽しめそうだ |
日本庭園(Co980の定点撮影) |
袴腰岳山頂の定点撮影 |